第10話

「知ってる、さっき山川に挨拶してただろう」


あっ、そうだった。


「とにかく、今日はここに泊まれ、ゲストルームは鍵がかかるから、それならいいだろう」


私は何も言い返せずお世話になることになってしまった。


なんか落ち着かない、まずなんで私が襲われたの?


あのマンションを見上げていた男は何者なの?


海堂さんはどうしてこんなに親切にしてくれるの?


ちょっと自分勝手すぎるけど……


そんな事を考えていると、ドアがノックされた。


「はい」


「まだ、寝てないか?」


「寝ていません」


「ちょっとつきあえ」


ドアを開けると、海堂さんはお酒を呑んでいた。


「冷蔵庫になんかあるだろう、つまみを作れ」


私は冷蔵庫を開けて酒のつまみを作った。

料理は得意で、文句を言われたり、まずいと言われたことはない。


案の定海堂さんは「へえ、驚いたな、人間一つは取り柄があるもんだな」と憎まれ口を言ったが、笑顔で全て平らげた。


「美味しかったですか」


「まあまあだな」

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