第40話

「はい」


「亜紀?電話くれた?何かあったの」


副社長からだった。


理樹さんは私のスマホの相手を見抜いて、私の手からスマホを奪い取った。


「おい、どう言うことか説明して貰おうか」


「理樹、亜紀に替わってくれ」


理樹さんは私にスマホを渡した。


「はい、亜紀です」


「びっくりしたよ、何で理樹と一緒にいるんだ」


「副社長の忘れ物を届けに来たら、社長に見つかってしまって」


「忘れ物?」


「はい、テーブルの上の封筒です」


「あっ、忘れた、そうだ」


理樹さんは私に「スマホ、貸して」そう言って手を差し出した。


「すぐ、下のロビーに降りてこい」


そしてスマホを切った。


「亜紀、健と付き合ってるのか」


「違います、ハウスキーパーのお仕事をさせて頂いているだけです」


思わず言ってしまった。


「詳しい話を聞かせてくれ、ロビーに一緒に来てくれ」


そう言って理樹さんの後を追って東條ホールディングスのビルに向かった。


ロビーに入ると、すでに副社長が待っていた。


「亜紀」

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