「そうですね、理樹さんが思った通りの男性で安心しました」

「俺ははじめから亜紀と結婚したいと思っていたよ、でも予期せぬ事態になって本当にすまない」

「大丈夫です」

「今度、食事行かないか、それぐらいなら問題ないだろう」

「はい」

私は満面の笑みを見せた。

そして社長室を後にした。

まさか、副社長さんが迎えに来るなんて、私を抱きしめるなんて、想像をはるかに超える事態に戸惑いを隠せなかった。

「理樹と何を話したの？」

「あっ、えっと、どう言う経緯で副社長さんの秘書の仕事をやる事になったのかって質問されました」

「亜紀は何て答えたの？」

「ビルの前で副社長さんに声をかけられて、秘書のお仕事を頼まれたとお答えしました」

「それから？」

「副社長さんの恋人なのかと聞かれたので、違いますとお答えしました」

「なんだ、僕の恋人も引き受けてくれたんじゃなかったの？」

「そんな事頼まれましたっけ」

「ああ、いつでも僕のそばにいて対応してくれって言ったはずだけど」

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