第15話

「そんなふうに見えないですね」


「やっぱり理樹と面識あるんですね」


私はしまったと口に手を当てた。


「水本さんは可愛い人だな」


可愛いなんて言われた事ないから、恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまった。


副社長さんはクスクス笑っていた、もう、私、バカにされてるの?


ちょっと拗ねて見せると「拗ねた顔も可愛いな、理樹が好きになるのも納得出来る」と私を見つめた。


「是非、僕の秘書になってください、ご連絡をお待ちしています」


副社長さんが手渡してくれた名刺をじっと見つめて、そう言えば理樹さんは名刺をくれなかった、スマホの連絡先を交換しただけで、あれ以来理樹さんから連絡はない。


やっぱり遊びだったのかな、婚約者いるし……


「水本さん?どうかなさいましたか」


「いいえ、なんでもありません」


「では、絶対に連絡くださいね」


私は曖昧な返事で誤魔化して、その場を後にした。


その夜、冬美と連絡を取った。


「東條ホールディングス副社長の秘書の仕事を、やろうかなって思ってる」

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