第47話

ある日、ベビー用品の買い物に誘われた。


「雫、チビ助のベビー用品買いに行こう」


「はい」


唯香さんの側にいてあげてなんて言ったが、本心は私の側にいて欲しかった。

だから、買い物に誘ってくれたことが、すごく嬉しかった。


「雫、これすげ〜可愛いな」


「本当に、いろいろあるんですね」


私はウキウキした気持ちを目一杯表した。


「やっと俺の前で笑顔見せてくれたな」


私は少しずつ凍りついた心が溶けていくのを感じていた。


「飯食って帰ろうか」


「はい」


私と峻の距離が近づいた頃、思いも寄らない出来事が二人を襲った。

静寂の中峻のスマホが鳴った。


「社長、こんな時間に申し訳ありません、唯香さんが自殺を図りました、未遂だったのですが、今すぐ病院へ行ってください」


峻は固まった、唯香が自殺未遂?俺のせいか。


「雫、唯香が自殺未遂を起こした、俺の責任だ、不本意だろうが、病院へ行ってくる」


「わかりました、私は大丈夫ですから、唯香さんの側にいてあげてください」


「悪いな」


そして峻は唯香さんの待つ病院へ向かった。

これを境に峻としばらくの間会えなくなるなど、予想もつかない事だった。

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