第35話

峻は産婦人科の定期検診に着いて来てくれた。


「冴木雫さん、診察室へお入りください」


診察室に入り、エコーでチビちゃんの様子を見せて貰った。


「とても元気ですよ、待合室にいるのはご主人様ですか?」


「はい」


「一緒に見ますか?」


どうしよう、峻にとってチビちゃんのエコーなど興味ないかもしれない。


「聞いてみないと・・・」


「待合室のご主人呼んで」


先生は峻を呼ぶように看護師に指示をした。

峻が診察室に入って来た。


「赤ちゃんのエコーです、とても元気ですよ、男の子ですね」


峻は画面に食い入るように見ていた。

そして私の顔を見てこう言った。


「チビ助だったな」


「あ、そうですね」


二人で顔を見合わせて笑った。


先生が注意があると話を始めた。


「奥様は切迫流産になりかけた事がある為、今後子宮の収縮で早産を注意しなければなりません、ご主人様はお若いので、大変かもしれませんが、夫婦の営みはなるべく控えてください」


「わかりました」


彼はチビちゃんの父親として、先生の話を聞いてくれていた。

私は嬉しい反面、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

自分の子供でもないのに、いくら跡取りがほしいからと言って、他の男の子供を妊娠している私と結婚するなんて、誰が想像出来るだろうか。


そう言えば、ある事を伝えると、振られると言っていたが、どんな事だろうか。

とても気になっていたが、彼に確かめる事が出来ずにいた。

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