第26話

私は琉のマンションへ連れて行かれた。


「私、帰る」


「何処へ帰るの、冴木社長のところ?」


峻のところへは帰れない。


肩を震わせた私を琉は抱き寄せた。


「雫、冴木社長は女性遍歴が多い、今だってモデルの唯香と熱愛中じゃないか、そんな奴に着いて行っても、雫が泣くのは目に見えてる」


私は黙ったまま琉の話を聞いていた。


「それに自分の子供でもないのに、自分のこどもとして発表するなんて信じられない、何か企んでいるとしか思えないよ」


だって私は契約の婚約者だから・・・


「冴木のところへ戻らないでくれ、ここにいてくれ、僕はあれからずっと雫を捜していたんだ」


「私を捜してたの?」


琉は優しく微笑んで頷いた。


「疲れると子供によくないから、もう休んだ方がいい」


私は促されて仕方なく、琉のマンションに泊めてもらうことにした。


「この部屋はゲストルームだから、この部屋を使って」


「琉、ありがとう」


ベッドに入って目を閉じると、峻の事が気になった。

私を心配してるだろうか?それとも唯香さんとこれからのことを話しているのだろうか?


唯香さんが峻の子供を妊娠しているのなら、もう契約は解除しなくちゃいけないよね。

私は峻に愛されてる訳でもないし、峻の子供を妊娠してる訳でもないから・・・・

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