第20話

すごく疲れた。

一般人の中の一般人の私が婚約者お披露目会見の張本人だなんて、契約でも無ければあり得ない事だ。


テレビをつけると、記者会見の模様が生中継されている。

彼はすごくかっこいい、何で?振られるの?何で私なんだろう、いくら考えても理解出来ない。


でも私はすでに彼に心惹かれて、彼なしでは生きてはいけない状況になっていた。


彼を待っていると、部屋のインターフォンが鳴った。

私は彼だと思い、相手を確認せずに、ドアを開けてしまった。

取材の記者が押し寄せ、あっと言う間に部屋に入ってきた。


「先程冴木社長がおっしゃっていた事は、間違いないですか?」


彼はなんて言ったんだろう、わからないよ。


「うまく玉の輿に乗った感じですが、秘訣はなんでしょうか」


「冴木社長は数々の女性遍歴をお持ちですが、心配はないでしょうか?」


私はどうしたら良いか途方に暮れていた。


「現在二十代のモデルと熱愛中ですが、愛人は公認ですか?」


えっ?二十代のモデルと熱愛中?

やっぱり彼女いるんだ。

そうか、私とのキスは契約だから、そうだよね、誰が好き好んで、お腹に他の男の子供がいる女性とキスしないよね。


そこへ秘書の山元さんが来てくれた。


「出て行ってください、取材でしたら、社長が受けるとの事ですから、お引き取りください」


山元さんは記者を追い払ってくれた。


「雫様、大丈夫ですか?本当に申し訳ありません


「大丈夫です、お気になさらないでください」


そこへ彼が状況を聞きつけ駆けつけてくれた。


「雫、大丈夫か」

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