第二章 婚約者としての生活

第7話

そして私は彼と契約を交わした、無期限の婚約者として・・・


それからしばらくして、退院の許可がおりた。

私は彼のマンションで暮らすことになった。


「お帰りなさいませ、冴木様」


「今日から一緒に暮らす雨宮 雫だ、俺の婚約者で、彼女のお腹に俺の子供がいるからよろしく頼む」


「かしこまりました」


私はペコっと頭を下げた。


「私はコンシェルジュの千賀と申します、なんなりとお申し付けください」


「雨宮 雫と申します、よろしくお願いします」


私はコンシェルジュの千賀さんに挨拶を済ませ、彼とエレベーターに乗った。

彼の部屋は最上階にあり、驚く程の広さだった。


「雫、今日からここが雫とチビ助の家だ」


彼は私をエスコートしてくれた。

部屋に入ると、彼は私の手を引き寄せた為、彼の顔が急接近した。

次の瞬間、彼の唇が私の唇を塞いだ。

そして、私の腰に手を回し、ギュっと抱きしめられた。

何?キスしてる?どうして?婚約者を演じる為の練習?


彼のキスはとても心地よい、気持ちがよく不覚にもドキドキしてしまった。

彼のキスは激しさを増して、私の中に彼の舌が侵入してきた。

えっ?いくらなんでもやり過ぎでしょ。

次の瞬間、お腹がキュッと締まった感覚に陥った


私は彼の胸を手で押して「お腹が痛いです」とキスの中断を伝えた。

彼はビックリして「大丈夫か、救急車呼ぶか」と慌てた様子で私の顔を覗き込んだ。


「大丈夫です、ちょっと冴木さんのキスでドキドキしちゃって・・・」


彼は私を見つめて安堵の表情を見せた。

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