第40話

私が叶えたかった夢がすべて叶った。

彼が現れて、大好きになって、大好きって思われて、こんな幸せは二度とないなあ~。

彼が目を覚ました時、私の存在を忘れていたら、私を愛してくれた彼の元へ行こう、奇跡は二度起きないと思うから・・・

 手術は無事成功し、彼が目を覚ました。

先生が診察をした、自分の名前と仕事は覚えている、しかし・・・

「麻生さん、手術は希望されていなかったのですが、昏睡状態になり、緊急手術の運びとなりました、ご家族さまの同意が必要な為奥様に同意いただきました」

「俺の妻?」

「はい」

「先生、俺は結婚してないですよ」

「一年前にご結婚されたと報告を受けていますよ」

先生から病室へ入るように言われ、私は彼と対面した。

「お二人で少しお話してみてください」

彼は暫く私をみて、言葉を発した。

「すみません、あなたの事を覚えてないです」

想定内の出来事に驚きは無かった。

「大丈夫です、お気になさらないでください」

「お名前お聞きしてもいいですか」

「あゆみです」

それから何を話していいか分からず、沈黙が続いた。

 暫く彼は入院を余儀なくされ、私は彼の側にいる事が出来た。

着替えや入院に必要なものをマンションから持ってくるなど、私にしか出来ない事がありちょっと嬉しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る