第69話

「若頭、山城組若頭の舎弟と言う男が、若頭にお目どうり願いたいときています」


「一人か」


「はい」


「通せ」


我妻は嫌な予感が脳裏を掠めた。


(ひとみの身に何か起きたんじゃないだろうか)


部屋に通された有働は、目の前の我妻の姿に驚きを隠せなかった。


我妻は車椅子に乗っていた。


「なんの用だ」


「あ、はい、こんなこと頼めることじゃない事、重々承知しています、でもお願いします、若頭を探してください」


有働は頭を下げた。


我妻組結城は頭に血が昇り、有働の胸ぐらを掴んだ。

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