第36話

葉月はインターホンに対応した。


「本山組若頭、城之内理玖と申します」


あ、麗美さんの護衛の人。


麗美さんは本山組のお嬢さんだから、守られてるんだ。


「どんな御用件でしょうか」


「先程はうちのお嬢が大変失礼なことを申しまして、申し訳ありませんでした」


そう言って理玖は頭を下げた。


「わざわざそのために来て頂いたのですか」


理玖は照れたように頭をかいた。


「大丈夫です、全て本当のことですし、確かに図々しいですよね」


「そんなことはありません」


「本当に大丈夫ですから、麗美さんのところに戻ってください」


葉月の言葉に理玖は動こうとはしなかった。


「あのう……」


葉月が理玖に声をかけると、理玖は意を決したように言葉を発した。


「引越しのお手伝いをします」


「えっ?」


「それからすぐにはアパート見つからないと思いますので、自分のマンションの一室使ってください」

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