第110話

(疲れた、やべえ)


健吾は裕也の車でマンションに向かっていた。


一週間ぶりのマンション。


健吾の脳裏に由梨の顔が浮かんだ。


「おい、由梨は誰が見てくれていたんだ」


「渡辺の兄貴じゃないですか」


「渡辺はさっきまでずっと一緒だったろう」


「そうすっね、一真の兄貴は……」


「バカ、俺にピッタリとくっついてたろう」


「それより、組長が誰に姐さんを頼んだんですか」

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