第90話
「ここに座って」
由梨はベッドに座るように言われて、腰を下ろした。
健吾はゆっくりと顔を近づけた。
そしてそっと由梨の唇に触れた。
由梨はキョトンとしていた。
(大丈夫だったか)
健吾は拒絶される覚悟でいた。
でも由梨から発せられた言葉は以外なものだった。
「何でキスしたんですか、奥様に申し訳ないです」
「由梨が俺の奥さんだから何の問題もないよ」
「そうなんですか」
「うん」
健吾は由梨を抱ける日は来るのだろうかと落ち込んだ。
(もしかして俺もこともわからなくなるんだろうな)
健吾ははじめて恐怖を覚えた。
今まで生きてきて怖いと思ったことは一度もない。
いつも死と隣り合わせの世界で生きてきた。
そんな健吾が愛する由梨に誰と言われることが、怖くて仕方がないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます