第86話

由梨はそっと病室のドアをノックした。


病室に入ると、健吾がベッドに横たわっていた。


「健吾さん、どうしたんですか、何でこんなに怪我しちゃって」


まず、健吾はいよいよ始まったのかとさほど驚かなかった。


そして一番驚いたのは、裕也だった。


「姐さん、若頭のことわかるんですか」


健吾は裕也に由梨の病気のことを話していなかったと反省する。


「おい、裕也、ちょっと席外してくれるか」


「へい」


裕也は仕方なく、病室を出た。


「健吾さん、説明してください、何があったんですか」


「由梨、落ち着いて聞いてくれ」


健吾は由梨に説明した。


そして、由梨は納得する。


ところが、また、健吾の元を離れると、同じことの繰り返しだ。


そして、健吾は裕也と渡辺を呼び出した。


由梨は渡辺のことも初めましての様子だ。


「あのう、若頭、どう言うことでしょうか」

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