第十一章 由梨の記憶が消えた

第82話

(お前を一人にはしない)


健吾は骨が折れてる腕で、必死に自分の身体を移動させた。


水を一口飲む。


どれ位時間が経過しただろうか。


川岸の砂利を踏む音が聞こえた。


「健吾さん、健吾さん」


(俺を呼ぶ声は、紛れもない由梨の声だ)


(由梨、ここだ)


声が声にならない。


(由梨、気づいてくれ)


すると、由梨は健吾に向かって駆け寄ってきた。


「健吾さん、しっかりしてください、今、皆さんを呼びに行きます」


健吾は由梨の腕を掴み、そばにいるようにとか弱い声で伝えた。


由梨は健吾の身体を抱きしめた。


健吾は入院して、一週間が過ぎた。


内臓もだいぶ痛みつけられた状態だった。


健吾は点滴を施してもらっている時、目を覚ました。


「由梨、由梨」

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