第26話

西園寺に酷い言葉を浴びせてしまったからだ。


由梨はドアを開けて渡辺を招き入れた。

「昨日は西園寺さんに酷いことを言ってしまい、申し訳ありませんでした、

怒っていますよね」


「そうでしたか、大体のことは察してましたが、肩を落としてショックを受けていたようだったので、もしかしてと思っておりました」


「本当にすみませんでした」


「大丈夫ですよ、今日は若頭からの申し出をお伝えに参りました」


(なんだろう)


「夕凪様を囲いたいとの申し出です」


「囲う?」


「毎月手当てをお支払いしますので、若頭の相手をして頂きたいのです」


「西園寺さんの女になると言うことでしょうか」


「はい」


由梨の目の前には見たことがないお札の束が差し出された。


「こちらが毎月の手当てです」


由梨は唖然とした。


「あのう、私は東條ホールディングス東條優馬のフィアンセです、そして

東條ホールディングスを辞めるわけにはいきません、ですから西園寺さんからの

プロポーズはお受け出来ないとお断りしました、それに借金を肩代わりしてくださる

との申し出もお断り致しました、西園寺さんに払って頂く理由がありません」

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