第20話

組の若頭ともあろうものが知らなかったでは済まされない。


俺は命を狙われた。


脇腹に食い込んだ拳銃の弾は、思いもよらぬ破壊力だった。


ナイフで切られたよりも、さらに痛みは増し、流血は止まらない。


(やべえ、俺の人生二十五で終わりかよ)


その時、俺に声をかけてきた女がいた。


「怪我しているんですか」


俺は逃げて走った途中にスマホをなくした。


「すまねえが、仲間に連絡とりたいから、スマホ貸してくれねえか」


藁をも掴む気持ちだった。


「どうぞ」


その女はスマホを俺に差し出した。


俺は西園寺組、渡辺龍に連絡した。


小さい頃から俺の兄貴みたいな存在で、俺のそばにいつもいた頼れる奴だ。


「若頭、どちらにいらっしゃるんですか」


「新宿三丁目の裏通りだ」


「そこは山本組の島です、すぐに移動してください」


「銃で撃たれて動けねえ」

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