第一章 西園寺組若頭の純愛

第1話

「若頭、指示の女性ですが、東條ホールディングスに勤務しており、


社長の東條優馬の婚約者です」


「婚約者?」


「あのう、すでに他の男の女です、諦めた方がよろしいかと」


「馬鹿か、お前は」


驚きの表情を見せたのは、健吾の運転手、安達裕也だった。


裕也は健吾を尊敬していた。


健吾も裕也を可愛がって、いつも側に置いていた。


健吾は極道には珍しく、本気の女以外は抱かない。


惚れた女に一筋だ。


健吾は由梨に惚れた。


絶対に自分の女にしたいと思った。


「他の男が放っておかない魅力が由梨にはあるってことだ、俺の目に狂いはねえ」


「それはそうですが、若頭が彼女に振り向いて貰える確率は低いと思います」


「はあ?」


健吾は怒りの形相になった。

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