第2話

加子が会社を出ようとすると、入れ違いに一人のチンピラ風の男が入ってきた。


その男はいきなり、加子の腕を捕まえて引き寄せた。


「何をするんですか」


「いい女だな、ちょっと付き合え」


チンピラ風の男は加子の腕を無理矢理引っ張って外に出ようとした。


「離してください、警察を呼びますよ」


そこへ三国蓮也がエレベーターでエントランスに降りてきた。


加子とチンピラ風の男が揉めてるところに出くわした。


「ケン、お嬢さんの手を離せ」


その男は蓮也の言葉に「すみません、組長」と加子の腕を離した。


加子と蓮也は見つめあった。


「申し訳ない、うちのやつが乱暴しちまって、許してくれ」


加子はポカンとして答えなかった。


スマートな立ち振る舞い、キリッとした顔立ち、加子は一目で惹かれた。


蓮也は受付の社員に「また、出直してくる」と告げてビルを出て行った。


加子は慌てて後を追った。


「あのう、お待ちください」


蓮也は振り向いて加子をじっと見つめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る