第42話

「じゃ、今晩する?」


彼は冗談っぽく言ってその場を和ませてくれた。


「美希、お前を最高に幸せにしてやる、俺に惚れて離れられなくなるぞ、いつもお前の気持ちに答える、だから俺に甘えろ、わかったか?」


「はい、わかりました」


彼はいつも優しい、私を思いっきり愛してくれるでも私が抱えている不安をどうやって伝えればいいか、もし嫌われたらどうしよう。


私が抱えている不安は十年前に遡る。


当時私は飛鷹コーポレーションの御曹司、飛鷹劉と付き合っていた。


私は綺麗だと言われたことはあるが、決して目立つ存在ではない。


大学の同級生である彼と、卒業後偶然バーで再会した。


「藤城?久しぶり、俺のこと覚えてるか」


「飛鷹くん?本当に久しぶりだね、卒業以来だよね」


久しぶりと言うこともあり、また大学の時密かに彼を目で追っていたほど、惹かれた存在だった。


彼は御曹司と言うこともあり、いつも女の子に囲まれていた。


地味な私はその輪の中に入れず、遠くから見守っていただけだった。

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