第38話

「あっ、失礼致しました、でもその場にいらした方ですよね、少しお待ち頂けますか」


「はい」


それから人の動きが慌ただしくなり、騒ついてきた。


「輸血パックが足りません」


「RHマイナスですか」


私はこの時役に立てると思った。


実は私の血液型はRHマイナスで、すごく苦労した経験があった。


「あのう、私、RHマイナスです、私の血を使ってください」


そして私は男性に輸血した。


病室で休んでいると、白髪混じりの初老の男性が挨拶にやってきた。


「はじめまして、この度は坊ちゃんを助けて頂きありがとうございました、後ほど旦那様が到着されますので、しばらくお待ち頂けますでしょうか」


「あのう、お互い様ですから、お気になさらないでください」


「ありがとうございます、でももうしばらくお待ちいただけますようお願いします」


私は待たずに帰ろうと思った。


「失礼ですが、お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか」


「藤城美希です」


「では後ほど」

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