第28話

「会長にご挨拶は別の日に日程を取っております今日必要な事でしょうか」


「今必要な事だ」


東條さんはしばらく考えて彼に告げた。


「では二時間だけですよ、二時間経ったらお戻りください、よろしいですね」


「わかった、藤城行くぞ」


「はい」


私は彼のあとについて出掛けた。


「あのう、社長、会長へのご挨拶なんて、私なんの準備もしていません」


「大丈夫、ちょっとドライブだから」


彼は嬉しそうに私を見つめた。


彼と海に出かけた、仕事中に海を見てるなんて罪悪感はあったが、彼と一緒にいることに幸せを感じていた。


「美希が東條と二人きりなんて、絶対我慢出来ねえ、美希は俺のものだからな」


えっ、東條さんに嫉妬してたの、信じられない。


「美希、俺のマンションに引っ越してこい」


彼の言葉にいい加減さは感じられない、でも彼との恋愛に踏み出す勇気はなかった。


その時彼のスマホが鳴った。


「社長、至急お戻りください、早川社長がお見えです」


東條さんからの電話だった。


「わかった」

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