第18話

「俺は美希に心奪われてからこの日をどれ程待っていたか」


心奪われたってどういう事?


その時彼のスマホが鳴った。


「なんだよ、これからだって言うのに、はい、鏑木です、わかりました、調べて折り返します」


私はこの隙にソファーから抜け出し、衣服の乱れを直した。


そして社長室から逃げ出した、もう何が起きたのこれは夢?気がつくと自宅に戻っていた。


逃げてきちゃった、どうしよう……


その時スマホが鳴った。


「美希?どこにいる?悪い、気持ちがMAXになって我慢出来なかった、でもいい加減な気持ちはない、俺と結婚してくれ」


何を言っているのか理解出来なかった。


「すみません、混乱して、切ります」


私はスマホの電源を落とした。


あ?どうしよう、いろんなことが交錯して涙が溢れてきた。


この時彼の私に対する気持ちに気づくことは出来なかった。




美希とは初対面ではない、やっと探し当て、社長まで上り詰めた。


俺の中で美希は命より大事な存在だ。

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