第11話

次の日、出社した時、思い切って彼女に聞いてみた。


「藤城さんは結婚してますか」


彼女は目を丸くして、驚いた表情を見せた。


「結婚はしていないです」


「じゃあ、付き合っている人はいますか」


「いないです、なんでそんな事聞くんですか」


「気になるからです」


「おばさんをからかわないで下さい」


彼女はちょっと拗ねた表情を見せた。


「藤城さんは、おばさんじゃないし、からかってなんかいないです」


「鏑木さんはおいくつですか」


初めて俺の事聞いてくれたからテンションが上がった。


「俺は今年二十三です」


「お若いですね、ひと回りも私が上です」


「全然見えないですよ」


彼女は恥ずかしがり俯いた。


俺はデートを申し込みたかった。


しかし、親父に釘を刺されていた、立場を考えろと……


それにもう時期アメリカに渡米するのに、からかわれていると思われては俺の人格に関わるので、ここはグッと堪えた。


そして俺はアメリカに渡米した。

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