第3話

身体中も痛くて堪らない。


自分の手を顔の前に持っていき、両手がある事を確認した。


足は全く感覚が無い。


もしや、俺の足は無いのか?


急に悍ましい思いが脳裏を掠めた。


「おい、俺の足はちゃんとあるか?」


「大丈夫です、ちゃんとついてますよ」


東條はニッコリ微笑んで答えてくれた。


そこへ病室のドアがノックされた。


「蓮、生きてるか?」


そう言って病室に入ってきたのは、俺の悪友、望月楓だ。


「楓、縁起でもない事言うなよ」


「でも良かったな、お前は強運の持ち主だな」


俺は強運の持ち主じゃない、輸血を申し出てくれた女性がいなかったら、俺は今、ここにはいない。


「蓮様、事故現場にいらした女性はどなたですか?お付き合いされていた方でしょうか」


「事故現場にいた女性?俺はあの時一人だったはずだが……」


俺は全く身に覚えがなかった。


「事故現場にいた女性が一緒に救急車に乗って頂いて、輸血を申し出てくださったんです」


「名前を聞いたか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る