ヘルプマークを貰いに
ヘルプマークを貰いに私は母と街へ出た。
いつもより少し多い街。
私は底しれぬ恐怖がふつふつと湧いてきた。
「今、話しかけられても何も言えない・・・怖い」
介助してくれる母が居ないと私はヘルプマークの申請にすら行けなかった。
ヘルプマークを受け取り、混んでいるカフェで休憩。
いつもなら私が注文しているカフェラテすら母にお願いしなければならない。
ふと目の前の親子が目に入った。
たくさん買い物をして、紙袋をいっぱいにしながら話す親子。
幸せそうだな。
いつもならうるさいで済む親子が羨ましく思えた。
母が何かを察したのかドリンクの蓋を持って来て「出よう」と言ってくれた。
私はどんな顔をしていたのだろう。
ーーーーーーーーーー
今のヘルプマークはビニールの袋に入れておかないといけないほど簡単なものである。
私と母は百均へ向かった。
山のような人。
いつもなら居ないほどの人が、日曜日だからかお店を埋め尽くしていた。
私は血の気が引いた。
もしはぐれたらどうしよう。
今になってみるとスマホもあるし、困らなかったかもしれない。
でも、私はとんでもない恐怖を覚えた。
「おかあさん」
その一言すら発することができない今、私は自由に広い店を見て回ることすら困難なのだ。
帰り道、電車に揺られながら
酷く疲れた私の姿を
母はどう受け取っただろう。
ーーーーーーーーー
家に帰り、私は黙々と絵を描きながら自室に居たら父親が入ってきて一言
「腰が痛いからマッサージをして」
と頼み込んできた。
私はトリハダが立った。
何を言っているんだ?
私が、声を出せなくなったのはアンタのせいだぞ?
というか健康な癖に声をだせなくなった娘に「大丈夫か?」の一言も言えないのか??
そんな思いと共に
今すぐ家から出ないと私は死んでしまう。
そう、思った。
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