不幸な君に幸福を 〜聖女だと名乗る女のせいで「悪役聖女」と呼ばれていますが、新しい婚約者は溺愛してくださいます!〜

月橋りら

プロローグ・登場人物紹介

〈プロローグ〉


あの日から、全てが変わってしまった。


そしてあなたと出会ってから、気持ちに蓋をした。


愛されなくて良いって、そう思ったのかもしれないーー。

ただ「信頼」という名の愛を注いできた、だけだった。


「恋愛」という名の愛は、私には似合わないから。


持っていてはいけないから。



だけど、裏切りを知る。

婚約破棄されて嬉しいわけじゃないし、でも悲しいのか、と言われると…。


悔しい、方が勝るかもしれない。


「…「聖女」の座を奪っていた」


そう言われてしまうことが。


「悪役聖女、なんだかお可哀想ですわ」


そう同情を引いてしまうことが。



「愛を注ぐだけで返ってこないなんて、それほど虚しいことはないと思うわ」


友達まで言った。

だけど、それで私は生きてきたのよーーいいえ、我慢してきたの。


ずっと、ずっとーー。



「よく、頑張った。もうこれからは、一人で抱え込まないで」


一番欲しくてたまらなかったのかもしれない、その言葉を、よりによってあなたが言ってくれた。


ーー大好きなあなたが。


これは、「悪役聖女」と呼ばれる令嬢が、想う人と、愛を知っていく物語。




〈登場人物紹介〉


・クリスティーナ・エステル・ルドルフ

ルドルフ侯爵家の第二子であり、聖女。わけあって「悪役聖女」と呼ばれており、第一王子の住むラリエット宮で保護され、日々を過ごしている。



・スティーブン・リアム・ソユリア

カナル王国第一王子。クリスティーナと幼い頃から知り合っており、今はクリスティーナを保護している。


・リリアーナ・アン・カナル

王室パーティーで第二王子にぴったりと寄り添っていた。男爵令嬢であり、「自称」聖女。


・メイナード・ノア・ソユリア

クリスティーナの元婚約者であり、婚約破棄を突きつける。リリアーナに惚れ込んでいることから、リリアーナを「本物の」聖女だと信じている。


・アンジェリカ・マリン・ドルップ

ソユリアでも有数の公爵家の令嬢であり、その見た目から傲慢だと勘違いされやすいが、実は頭の回る領民思いの令嬢。

ひょんなことからクリスティーナと親しくなる。


・リューク・アット・シンシア

幼い頃からのスティーブンの側仕え。若いながらに有能だという噂で、名は社交界に知れ渡る。


・アーサー・リズ・ルドルフ

クリスティーナの父。子供に興味がなく、常に家の利益なるかを考えている。(クリスティーナによると)浮気しているかも?


・アリア・レイシャ・ルドルフ

クリスティーナの母。極端にクリスティーナを嫌い、代わって息子のエドワードを溺愛している。


・エドワード・ライラ・ルドルフ

クリスティーナの兄。クリスティーナにも優しいが、名あるルドルフ家の跡継ぎとして勉学に忙しい。



「この人誰だ?」と思ってしまったら、ここを確認してください。

新しい登場人物が出てくるたびに追加するつもりです。


〈その他の固有名詞〉


・ソユリア王国

物語のメインの舞台で、クリスティーナたちが生まれ育った国。


・ラリエット宮

第一王子スティーブンに与えられた宮で、クリスティーナが保護されている場所でもある。


・ルドルフ侯爵邸

クリスティーナが生まれ育ち、彼女が様々な感情を抱く場所のひとつ。

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