4話(菫)

別に聞くつもりはなかった。たまたま忘れ物に気づいて 教室に行ったら 百合が香澄と

話していた、本当にただ偶然が重なっただけ

「あのさ、昨日 ごめん。」謝っている香澄の

声「何が?」という 無理に明るくしたような

百合の声そして しばらくの沈黙。

「……冗談。昨日のことは気にしてないからもう いいの。だから香澄ももう気にしないで?」そして数分経ち「……バイバイ、

また明日」と泣くのを堪えた表情をして

百合が俺に気づかないまま帰って行った 。

少し間を開け教室に入った「だから言った

だろ?」香澄はただうなだれ「……じゃあ、どうすればよかったんだよ?」と小さく

零した。「それを考えるのはお前だろ。

言っとくけど お前がやってた行動はただの

自己満足で百合に何一つ誠意なんて伝わってねぇと思う 」香澄はよろよろと立ち上がり

「そんなこと 僕が1番わかってる」と自分が

傷つけられたというような表情をした

「わかってるだけで何になんだよ。理解をしろ上辺部分だけわかって何になる?香澄は

本質を理解しようとしてるか?」今度は図星というような表情を浮かべた「お前が百合を傷つけたのはこれで2回目だ。……自分の何が悪かったか家帰ってよく考えろ」最後に

吐き捨てるように言い 忘れ物だけ取って

教室を出た。少し言いすぎたとも思ったが

良薬は口に苦し……香澄にはこれくらいが

ちょうどいいだろう。好き、嫌いの前に

もう子供じゃないのだから少しでも自分の

行動に責任を持ってほしいのだが香澄は

まだまだ無理そうだ。消して悪いやつじゃないでもあまりに無責任すぎる

4人でよく遊んでいた公園の前を通りかかると

桜と百合が仲直りしたようだった。桜は香澄に比べ昔からそういうところはしっかりしていた 少しは見習ってほしいものだと 思いながら家に帰った。

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