第25話  京都の混乱と新たな戦局

**文明元年(1469年)9月、京都・船岡山――**


船岡山の麓に広がる西軍の陣営は、張り詰めた緊張感に包まれていた。大内政弘は周防からの軍勢を率いて到着してから数日が経ち、周囲の動きはさらに激しくなっていた。兵士たちは新たな戦いに備え、夜もほとんど眠ることなく武具を整えている。


その中央の幕屋では、大内政弘と畠山義就、山名宗全が顔を突き合わせていた。


「これで京の制圧は目前だ、宗全殿」と、政弘が静かに口を開いた。


「政弘殿のお力添えがあってこそだ」と、山名宗全は深く礼をしながら応じる。「だが、勝元の動きが気になる。彼はただ敗走する男ではない…この沈黙の裏には何かがあるはずだ。」


「うむ、細川勝元は京の地形を熟知している。市街戦に持ち込まれれば、我々も手痛い反撃を受ける可能性がある」と、義就も加わる。


「だが、それを恐れては戦には勝てぬ。勝元の策を先に読み、先手を打つしかあるまい。明朝、武田勢を追撃し、東軍を蹴散らすべきだ」と政弘は鋭い視線を送りながら提案した。


宗全が口を開く前に、幕屋の外から足音が近づく。使者が息を切らしながら報告する。


「武田勢が東の山間で再び集結し、細川勢と連携して京の南端を狙っているとの報です!」


「やはり動き出したか…」義就が口をへの字に曲げ、考え込む。


「政弘殿、ここはどう動かれますか?」宗全が決断を促すように尋ねる。


政弘は静かに立ち上がり、地図を眺めながら深く息を吐いた。「相手の狙いは明らかだ。京を包囲し、南北から挟み撃ちにするつもりだ。だが、こちらにも策がある。兵を二手に分け、船岡山を守りつつ、南へ出撃する。畠山殿、義就殿、お二方には武田勢を追い払うため、山へ進軍していただきたい。」


「南の守備はどうするのだ?」義就が問い返す。


「私自らが出る。南禅寺周辺で細川勢を叩き、京の包囲を破るのだ。」


宗全は一瞬言葉を失ったが、すぐにうなずく。「分かった。それが最善だ。政弘殿、頼んだぞ。」


義就もその言葉に従い、短く応じる。「では、明朝には出発だ。」


### 戦局の転換


翌朝、京都の東山山麓は霧に包まれていた。西軍の兵たちは大内政弘の号令のもと、規律正しく行進を開始した。政弘自身は先頭に立ち、甲冑に身を包んで静かに馬を進めていた。


「細川勝元、この一戦で京を奪い返すことなど許さん」と、政弘は自らに言い聞かせるように呟いた。


その頃、細川勝元もまた、自らの陣営で京の地図を前にし、幕僚たちと作戦を練っていた。


「大内の勢が南へ進んでいるとの報が届いたが、彼らを迎え撃つ準備は整っているか?」と、勝元は冷静な声で尋ねる。


「はい、すでに山中に伏兵を配置しました。彼らが通るルートで待ち伏せます」と、側近が応じる。


「よし、こちらの勝利は時間の問題だ。我々が南を制し、京の運命を決める…」勝元は静かに手を握りしめた。


### 終わらぬ戦火


両軍の策がぶつかり合い、京都の市街は再び血に染まることとなった。

田中は、京都の街の喧騒を離れ、さらなる神秘を求めて旅を続ける決意を固めた。次の目的地は、伝説の早池峰の山姥や、巨石が佇む三ツ石神社、むかで姫の墓、さらにはカッパ淵や続石、寒戸の婆、雷獣のミイラといった、神秘的な存在が語り継がれる場所だった。


#### 早池峰の山姥


田中が早池峰の山中を歩いていると、ふと冷たい風が吹き抜け、山姥の伝説が彼の心に浮かんだ。早池峰の山姥は、人々に試練を与える存在として知られ、その強さと知恵は多くの人に恐れられていた。


「若者よ、真の力を知る者は少ない。しかし、試練を乗り越えた者にだけ、新たな道が開かれる。」


田中はその言葉に耳を傾け、彼の心に火がともった。試練を乗り越えることで、彼は真の英雄になることができるのかもしれないと考える。


#### 三ツ石神社の巨石


旅を続ける中で、田中は三ツ石神社に到着する。そこには、壮大な巨石が並び、その神秘的なエネルギーが漂っていた。伝説によれば、この巨石は古代の神々によって運ばれたもので、強いパワーを宿しているとされている。


「この石に触れ、心の中の声を聞け。」


巨石に手を触れた瞬間、田中の心に無数の声が響き渡り、彼はそのエネルギーに圧倒された。彼の中で、強い決意が芽生えた。


#### むかで姫の墓


次に田中が向かったのは、むかで姫の墓だった。むかで姫は、困難を乗り越えて人々を救った勇者として知られている。彼は墓の前に立ち、彼女の力を借りることを誓った。


「私も、皆を守るために戦います。どうか、私を見守ってください。」


その瞬間、静寂の中に何かしらの存在を感じ、田中はむかで姫の霊が彼を励ましていることを実感した。


#### カッパ淵と続石


次の目的地は、カッパ淵だった。ここは、カッパの伝説が語り継がれ、多くの人々が不思議な出来事を体験している場所である。田中は水辺に近づき、カッパの姿を探しながら、過去の勇者たちの思いを胸に秘めた。


続石も近くにあり、そこには強力な霊が宿っていると言われていた。田中はこの地で、自身の運命が大きく変わる瞬間を感じ取った。


#### 寒戸の婆と雷獣のミイラ


さらに旅を進めると、寒戸の婆の伝説が聞こえてきた。彼女は、冬の寒さを操る力を持ち、古の知恵を授ける存在だ。田中は寒戸の婆を探し、彼女からの教えを乞うことを決意した。


「お前の心にあるものが、真実の力となる。迷わず進め。」


この言葉が、田中に新たな勇気を与えた。


最後に、田中は雷獣のミイラが保管されている場所に辿り着く。雷獣は、天候を操る力を持ち、古代の戦士たちが畏れ敬った存在だ。田中は、そのミイラの前で再び誓った。


「私は、過去の力を借りて、この戦乱を終わらせる。」


### 新たな出発


田中の旅は、神秘的な存在との出会いを通じて、彼自身を成長させていった。彼の心には、新たな決意が宿り、京都の平和を取り戻すために再び立ち上がる準備が整った。


これから待ち受ける運命を受け入れ、田中は新たな冒険へと踏み出す。伝説が語る通り、彼の旅は彼自身の力を発見するためのものであり、過去と未来を繋ぐ架け橋となるのだ。どんな試練が待ち受けていようとも、田中は決して後退することはない。彼の勇気と知恵が、真の英雄へと導いてくれることを信じて。

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