第16話 応仁の乱の影
山名宗全らが室町第を占拠したことで幕府中枢から排除された格好となった細川勝元は、御霊合戦の後も没落せずなお京都に留まり続けていた。山名方は斯波義廉(管領)の管領下知状により指令を行っていたが、勝元も代々管領職を務める細川京兆家当主の立場で独自に(管領の職務である)軍勢催促状や感状の発給、軍忠状の加判などを自派の大名や国人に行った。そして四国など細川氏一族の分国からも兵を京都へ集結させるなどしたため緊迫した状態が続いた。3月5日に改元されて後の応仁元年(1467年)4月に細川方の兵が山名方の年貢米を略奪する事件が相次いで起き、足利義視が調停を試みている。また細川方の兵は宇治や淀など各地の橋を焼き、4門を固めた。
宗全は5月20日に評定を開き、五辻通大宮東に本陣を置いた。両軍の位置関係から細川方を「東軍」、山名方を「西軍」と呼ぶ。『応仁記』によれば東軍が16万、西軍が11万以上の兵力だったというが、これは誇張と考えられる。京都に集結した諸将は北陸、信越、東海と九州の筑前、豊後、豊前が大半であった。守護分国の分布では、東軍が細川氏一族の畿内と四国に加えその近隣地域の自派の守護、西軍は山名氏の他に細川派の台頭に警戒感を強める周辺地域の勢力が参加していた。当初の東軍の主力は細川氏・畠山政長・京極持清・武田信賢に文正の政変で失脚した赤松政則・斯波義敏を加えた顔ぶれで、西軍の主力は山名氏・斯波義廉(管領)・畠山義就・一色義直・土岐成頼・大内政弘であった。
**シーン 1:室町第の評定**
京都の室町第、豪華な部屋の中には、細川勝元をはじめとする武将たちが集まっていた。緊迫した空気が漂う中、勝元は一同を見渡しながら言った。
**勝元**:「皆の者、山名方がここに押し寄せてきた今、我々はどのように対処すべきか。宗全の動きはますます活発になってきている。」
**畠山政長**:「彼らはこのままでは引き下がるはずがありません。我々も各地から兵を集め、反撃の準備を整える必要があります。」
**京極持清**:「しかし、資金も必要です。各自の領地から支援を得なければ、戦を続けることは難しいでしょう。」
**勝元**:「それは承知している。しかし、我々はこの京を守るために戦うのだ。信じる者を呼び寄せ、全力で臨もう。」
**シーン 2:宗全の本陣**
一方、山名宗全は本陣で評定を開いていた。彼は座に着くと、周囲の武将たちに向けて言葉を発した。
**宗全**:「我が軍は圧倒的な兵力を誇っている。細川方をこの手で打ち倒すのだ。全員、気を引き締めよ。」
**畠山義就**:「しかし、細川方も意外としぶといです。彼らの戦略は手ごわいかもしれません。」
**土岐成頼**:「それでも、我々の結束があれば恐れることはない。京の平和のために、必ず勝利を収めよう。」
**一色義直**:「我が家も全力で支援します。彼らが再び立ち上がることは許されぬ!」
**シーン 3:山名方の会話**
評定が終わった後、宗全は畠山義就に近づき、低い声で語りかけた。
**宗全**:「義就、勝元の動向はどう見ているか?彼はまだ力を取り戻そうと狙っているようだ。」
**畠山義就**:「勝元は彼の手下を通じて、各地から兵を集めているとの情報が入っています。油断は禁物です。」
**宗全**:「そうか。彼の策略を無視することはできん。我々は一手早く攻撃を仕掛けるべきだ。」
**畠山義就**:「その通りです。攻撃のタイミングを逃さず、京の平和を取り戻すために戦いましょう。」
**シーン 4:再び室町第**
その頃、勝元は再び室町第で兵士たちと共に訓練を行っていた。部下たちが集まり、勝元は彼らに訓示をする。
**勝元**:「我々はただ守るだけではない。反撃を仕掛け、この京を奪還するのだ。皆、心してかかれ!」
**部下A**:「はい、勝元様!我々の力を信じて、共に戦います!」
**部下B**:「山名方を打ち負かしましょう!」
**シーン 5:緊迫する状況**
その後、両軍の間に戦火が点火される兆しが見え始める。勝元と宗全の思惑が交錯する中、双方の武将たちが戦いの準備を進めていた。
勝元と宗全、二人の運命はどう交錯し、京都の歴史に何を刻むのか。次なる戦いが彼らを待ち受けていた。
**シーン 6:明智光秀の首塚にて**
**場面設定**
青空が広がる静かな山の中、明智光秀の首塚が立っている。周囲は緑に包まれ、鳥のさえずりが聞こえる。脚本家の田中は、軽やかな足取りで塚の前に立つ。『応仁の乱』のシナリオは頭の中で着々と進んでいた。
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**田中**(自言自語):「ここが光秀の眠る場所か…。歴史の裏側に隠された真実は、どれほどの重みを持っているのだろう。」
田中は首塚を見つめ、手を合わせる。光秀の死後、彼に対する評価は様々だが、田中はその複雑な人生に興味を持っていた。
**田中**:「光秀はただの裏切り者なのか?それとも、運命に翻弄された男なのか…。この場所に来て、彼の気持ちに触れたい。」
田中は目を閉じ、深呼吸をする。次第に彼の心の中に、光秀の声が響いてくる。
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**光秀の幻影**(空中に浮かぶように現れる):「何を求めてここに来たのか、田中よ。」
**田中**(驚きながらも冷静に):「あなたは…明智光秀?その生涯を、私は物語にしたいと思っています。あなたの心情を、知りたいのです。」
**光秀の幻影**:「私の心情か…。運命に翻弄された者としての苦悩を感じ取れるか。」
**田中**:「もちろんです。あなたは、主君である信長を裏切ったことで知られていますが、その背後にはどんな理由があったのですか?」
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光秀はしばし黙り込む。周囲の風が吹き、木々の葉がさざめく。
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**光秀の幻影**:「我が心には、信長に対する忠義と同時に、恐怖があった。彼の野望は大きく、反乱の兆しを見せる者には容赦しなかった。」
**田中**:「あなたは、信長の影に飲み込まれないようにするために、反逆を決意したのですね?」
**光秀の幻影**:「反逆者として名を刻まれることを覚悟した。だが、私の選択は歴史を変えた。果たして、その選択が正しかったのか、今でも疑問だ。」
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田中は、光秀の言葉を真剣に受け止める。彼は光秀の心情を理解しようと努め、記憶の中の彼の物語を辿り始める。
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**田中**:「それが歴史の厳しさですね。あなたの選択が、どのように後の世に影響を与えたか…。」
**光秀の幻影**:「歴史は勝者によって語られるが、真実は常に陰に隠れている。あなたがその真実を掘り起こすことができるなら、私の存在意義も少しは救われるかもしれぬ。」
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田中は決意を新たにし、明智光秀の物語を真実に近づけるための使命感に燃える。
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**田中**:「私があなたの物語を描き、真実を語ることで、光秀さんの思いを後世に伝えます。あなたの苦悩、そして選択を…。」
**光秀の幻影**(微笑む):「それが叶うのなら、私も少しは安らかに眠ることができよう。忘れられた者の声を、どうか届けてほしい。」
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田中は深く頭を下げ、光秀の首塚を一礼する。彼の思いを背負い、新たな物語の創造に向けて歩き出す。
**シーン 7:帰り道**
田中は歩きながら、これからの物語の構想を練り始める。
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**田中**(内心の声):「光秀の物語は、単なる裏切りではなく、彼の苦悩と人間性を描かなければならない。真実は常に複雑だ…。」
**田中**(決意を込めて):「私がこの物語を完結させることで、彼の声を歴史に響かせる。光秀、あなたの思いは決して忘れない。」
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田中は足取りを軽くし、物語の創造に向けた新たな情熱を胸に、山を下りていく。
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