第48話

その夜。


NATSUがギターの今田さんを連れて、そば屋に訪れたのは夜の十時過ぎだった。



「おー!今田さんまで!どうしたんですか??」


健司くんはギターを始めていたので、特に今田さんのファンらしかった。




「俺はこっちに女いるからいいけど、NATSUはカレーライス食いに帰ってきたらしい」



「おばちゃん、おかわり!!」





NATSUは綺麗な顔してるのに、モリモリ食べてる。


片付けをしながら、ギャップのある姿に、ますますときめいた





「あんた学生の時から、うちの裏メニュー好きだよね」





おばちゃんは冷たい水を出して、そんなNATSUをニコニコ見つめていた。




「愛」



はっ!


「はいはい」




急にNATSUに呼ばれ、動揺する私。




「こっちの世界慣れたか?」



「え」



「店片付けたら、気分転換しに行こう、おばちゃん、いい?」




「えー、愛だけずるい!」


「健司は今田といちゃついてろ」


「俺に男の子守りさせるなよ」




おばちゃんの「いっといで」という承諾を得て、NATSUは私を乗せて、また夜の道を走っていく。

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