第39話

驚いた……。



「信じてくれるの?」



しゃがみ込んで千円札を見比べるNATSUに聞いてみた。




「剃りゃ、信じられないよな、タイムスリップとか」




「………………」




「でも、お前が嘘つきだなんて、もっと信じられないかな?」




そう言うと、NATSUはスッと立ち上がり、窓を開けて網戸にして、夏の夜の風を部屋に入れた。




「……私うそつきじゃないよ」




窓際に立ち、金髪をなびかせる端正な横顔のNATSUは鼻が高くて外人みたい。



「NATSUの本名は?」




わたし ファンとか言いながら、知らないことだらけ。




「桜庭夏揮」




NATSUは微笑んで、




「春生まれなのに、夏揮なんだよ」



と言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る