第20話

そこにあるもので、私が知っているアーティストやバンドは、今じゃ大物と言われる人たちのCDばかり。



そのジャケットの写真がとても若い。




なにより、目を引いたのは、ミニサイズのシングルCDたち。


こんなの、今時売ってないよ。




私……夢みてる?






そして、レジ近くの販促コーナーに、


ー【G県出身】デビュー決定!



" blue-black "ーー


と紹介されたインディーズCDを見つけた。




……ブルーブラック……



……さっきの圧巻したライヴを思い出し、 無性に欲しくなった。





財布をみると、千円札が数枚入ってるのみ。




使える?


" 野口英世 " 札を出して、偽札で通報されたら


おばさん来てくれるだろうか?






もし。

自分がとんでもない世界に入り込んでしまったとしたら、そのうち戻ることはできるのだろうか?







店内にかかったBGM "ロード "



" 夏の日は1993 "









自分が"過去"にきてしまったのでは?

と少しずつ認識し始める。




一番の証拠が、"シングルCD税込み¥1.030"……





結局 私は 何も買わないまま 店を出た。

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