第9話
「クスリ…?」
「何だったかな?LSDだったかなぁ…。メンバーの誰かがやって捕まって引退したんじゃなかった? かなり昔の話…」
「ふぅん」
「これ歌うの?入れようか?」
「あ、やっぱりいい! あなたが歌ってください!」
……なんだ、危険なバンドだったんだ。
想定外の真実から、【blue-black】への関心が一気に減り、カラオケを早く切り上げたくなった。
チャラ男は流行りものをひたすら歌い続ける。
10曲くらい歌ったあと、
「休憩!」といって、ピッタリくっついて座ってきた。
「な…なに?」
「愛ちゃんだっけ? 可愛いよなぁ、俺と付き合わない?」
「……………え…」
……″笑うと前歯なくておかしいよ‥″
そう言いたいのを我慢し、
「もう帰る」
さっと席を立つ。
ーーこっちも危険かも。
「おいっ、なんで?」
部屋を出る私を、チャラ男が追いかける。
……そう
なんか、あのひと、
シンナーみたいな臭いがしたんだ…。
怖くなって、ビルを一気に駆け下り、繁華街へ飛び出した。
「おいおい!」
そのわたしの前を、突如現れた金髪で、そばかすだらけの男が阻んだ。
「逃げちゃだめやん」
「!」
すぐ後ろに携帯片手に チャラ男がやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます