あおってどんな気分ですか?
夏原秋
第1話
今日も青は怖い色。背後から迫り来るフロントは、禍々しい強面だ。
毎朝同じ時間に出かける生活をしていると、見慣れた車というものが、どうしても出来てくる。
青色の車だ。今回は、メルセデスベンツ。エンブレムのマークを見てそう思う。車種は知らない。毎日自動車を運転していても、マシンに興味がない人間だっている。毎日電車通勤をしているのに電車本体に興味がない人と、同じだ。
私にとってはただの移動手段に過ぎない。電車通勤が叶う場所に住む人々を羨ましいとさえ思う。燃料、車検、法定点検、駐車場所の確保。維持費はかかるし常に事故の危険がつきまとう。左折時の巻き込み目視確認は決して怠らないくらいがちょうど良いし、こちらがどんなに気をつけていたってぶつけられることもある。
ただの移動手段なのだから自分の車の見てくれにも頓着が無い。案外そういう人が多いものだ。無難な選び方をする。堅実な国内メーカーで手頃な車種、色はシルバー。汚れが目立たないからだ。頻繁に洗車をしなくても気にならない。
そんな私がなぜ、青い自動車のことをよく覚えているのかというと。
毎朝車間距離を詰められるからだ。
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