改ではなく、新
@jinnai_85
4:40
人から作品や音楽などを教えてもらったことがたくさんある。しかし、勧められるとなぜか、鑑賞する気が失せる。単純に、自分にとって作品や音楽は、自分を守るためだけに存在するからだ。他人と共有するものになってはいけない。他人と共有するものになると、その他人に対しても作品に対しても、裏切りを感じる。その他人が自分の敷地に入ってきたという、自分だけにとっての事実と、その作品は自分以外のものであると証明するかのように他人の口によって語られる作品に、裏切りを感じるのだ。しかし、そんな自分にも、勧められた作品を鑑賞できるようになった。たった一人だけに限るが。
他人を知りたいと思うのは、普通のことなのだろうか。今まで、他人について知りたいと思ったことがない。自分を知ってほしい気持ちが大きいため、人のことを知るより、その人にどう見られるかを意識している。自分を取り繕うのに必死で、結局他人を知れないままでいるのかも知れない。こんな文章を書いているのは、知りたいと思う人が最近できたからだ。
好きな食べもの、好きな色、好きな場所、そんなのはどうでもいい。何を考えて、何を感じているのかを鮮明に知りたい。その人の心の根底にある、思想の基盤を作っているものが知りたい。一番、手が届かないところにあるものが知りたい。そこに触れたとき、自分は初めて他人を敵ではないと、認識できるのだと思った。
図星をつかれるのは、相変わらず嫌いだ。だって、うるせー!となるから。腹が立つのもあるが、単純に心当たりがあるから、自分はなんて浅はかで愚かなのだろう、と考えてしまう。図星をつかれることは、自分を見破られるということだ。取り繕っていたものが、一気に剥がされていく感覚。今思っても、恐ろしい体験だ。
最近、自分の本質を見破ってくる人と出会った。いつもなら心のなかで、この人とは合わない…会話にストレスを感じる…とまで思うのだが、不思議とその人にはそうは思わない。その理由を考えてみる。ここ一週間ほど、これについて考えてみた。言葉に選び方、突いてくるタイミング、さまざまな憶測が飛び交ったが、結局単純明快なものだった。
その人に、真ん中の自分を、知ってもらいたいからだ。
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