1. 超高層タワー

第1話

私は今 人生最大のピンチを迎えている。




地上280m


70階のラウンジの壁には大きな穴が開き、


外界がむき出しになっている。




床は大きく傾き、


カタチあるものは

すべて穴のあるほうへ吸い込まれていく。



さっきまで 優雅に注がれていたワインも…



テーブルも… 



さっきまで賑わっていた人も…



悲鳴とともに、 


すべて 落下していく。




壁に掛けられていたモニターも…


穴が開いた衝撃でがれ落ち


かろうじて繋がっている数本の配線のみで


地上70階の空中でぶらぶらと揺れている。




もう時間の問題だ。


あのモニターも。   私も。






私は傾いた床の 一番高い部分に立ち、



壁に設けられている手すりに

かろうじてつかまっている。



もうすぐ 握力も尽きる。



このまま 外に吸い込まれて、



地面に叩きつけられて 終わるんだ。



私の人生・・・。





それもそうなんだけど、






それと 何が問題かというと…





輝羅理きらり

「大丈夫か アイリ        

      俺から離れるなよ」





りょう

愛梨あいりさん、

     お怪我はないですか?」






ルナ

「愛梨ちゃん、もう少しの辛抱だよ 


      …  一緒に頑張ろう」






今日 3人に 告白され、

今まさにこの状況で…


愛の言葉をささやかれていることだった。

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