第350話

研修施設・離れの別室―――――…








ジュエル〜!

 

 逢いたかった〜〜〜!!


 (朝ぶりだけど) 』




がばっ!!




誰もいない一室でジュエルに抱きつく泉水。




「まさか叶春が来てるなんて、

 びっくりしたよ


 今朝、来るなんて一言も言ってなかった

 のに…」




『ごめん…

 こんなとこまで着いて来ちゃって』




「今日来るなら教えて

 くれれば良かったのに…


 でも、


 さっきの講義には感動しちゃった」





『えへへ…

 私も急に決めた事で・・・


 結局、準備不足で言いたいことは

 全部言えなかったけど


 大丈夫だったかな?』




「みんな食い入るように聞き入ってたよ


 普段、社会の時間とか寝てる人しか

 いないのに


 叶春だったら、本気でなれるかも


 総理大臣に


 それくらいのインパクト感じた」






『ありがとう


     頑張るね』





ぎゅうぅ…っと 泉水を抱きしめるジュエル





『ホントはこのまま居たいけど、

 次の仕事があるから


      そろそろ 私は行くね?』






最近は諜報員としての仕事はジュエルに回りがちで、その分、企業支援や外交などの任務が増えてきたらしい。






「叶春、


 無理はしないでね」






『…ん っ…♡』







きつく抱きしめられたまま、

唇を深く重ねられ 


背中にびくびくん!という電気が走ったかの

ような感覚に誘われる泉水。





『ぃやん…♡


 こんなとこで、誰かに見られたら

 恥ずかしいよ…』







「好きなんだから、


    仕方ないじゃん」






『…ぁ… んっ♡』







もうひとつ 唇から好きという想いを注がれ


思わず声が漏れてしまう。







『やだ…


 声、抑えられない…』






「帰ったら、続き しよ?」






『うん… 』






ジュエルの胸深く頭を預け、

髪を撫でられ…



至福の甘々タイムはそろそろお時間…。





―――――…





『…ホントに行くね…


 ジュエルも気をつけながら

 研修頑張って?』 





「ありがとう


 帰りは明後日だよね?


 晩ごはん、何がいい?」





『じゃあ、パスタとか?


 ジュエル好きだし…』





「うん、わかった


 アレンジするから楽しみにしてて?」




『楽しみだなぁ…


 仕事頑張れそう!』





「それから…」




『?』





「次…


 叶春のこと、めちゃくちゃに

 しちゃうかも」







ボボッ!






顔への着火音が部屋中に響いたかの

ような、そんなリアクションをとる泉水…








『ホントのホントに、時間ヤバいから

 いくね!


 じ、じゃあね ジュエル!』





「またね、叶春」








たっ たっ たっ たっ!








『 (キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!


 私、

 めちゃくちゃにされちゃうの!?


 

 いやぁん…♡♡♡


 

 もう… 


 考えただけでもう卒倒しちゃいそう!!




 その声と言葉だけで…


         妊娠しちゃう♡) 』






研修施設を後にしながら、

また瞳の魔力と悪魔的イケボに磨きがかかってきたのでは? 


ようやく耐性を身につけたと思ったのに

それ以上のイケメンインフレを起こされたら

また卒倒しちゃうじゃない!


…などと、走りながら悶える泉水…。




さらに、テクノロジーが発達しても

ジュエルをコピーする事は

100%不可能だろう、と 実感した。











山彦殿高校と睡蓮西高校の研修は

続く…。

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