第334話

がばっ!





    「えっ…」






悠馬が意を決してとった行動…






「糸…」







糸に向き合い、


糸の両肩に手を乗せ、


糸の目を見る。






「糸、


 それなら 一緒に言おうか?


        お互い 同時に」





   「うん…


     悠馬


     ちゃんと、受け止めてくれる?」






「全部受け止めるよ



       糸の、全部」





   「じゃあ…」







 「いくよ?」









 「「せーのっ…」」
















「「糸/悠馬 の事が大好きです!



 俺/私と、 



 付き合ってくださいっ!!」」











お互いがお互いに贈った言葉と、

真っ直ぐな眼差しは


心の中で美しい花を咲かせた。



高嶺の花と思っていた恋花こいばな


道端の雑草と思っていた名もなき花は



同じ花だった。





やさしい色の、幸せな形。







「はい…」




    「…喜んで」








糸の肩に向かって ぴんと伸ばした腕が


肘を曲げて 距離を縮める…







胸が糸の体温を感じたときに






「絶対に離さない」







勇者様が姫に誓った言葉。





――――――――――――――――――――…






「手、繋ごう?」









距離も高さも すでに無い。






手が届く同じ場所に、同じ花が

寄り添って咲き誇る。









ジュエルに救われたあの日をきっかけに



悠馬の心に芽吹いた勇気。






紡がれた2人の恋は、


まだはじまったばかり…















❀EP5 悠馬と糸  The end❀

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る