第288話

2人は、脚を絡ませ

抱き合いながら 軽く言葉を交わす…。






『…しちゃったね』





「うん、しちゃったね」





目を合わせて、微笑み合うと

泉水は髪を撫でられ 目を逸らし…


もう一度 少し上目になった視線を送り、

その視線が捕らえられると、

一つ キス音を鳴らされる。




――――――――――――――――――――…




ジュエルくん、

 

 ジュエルくんて…

 すごく… 


 んー、何て言うか…』





「えっ?


     何?」








『…えっちだった』







泉水は少し悪戯な顔で、

ジュエルの頬に手を当てながら

軽く唇を乗せた。




「いずみちゃんもね?」





少し顔を赤らめながら泉水は笑みを浮かべ、ジュエルもまた 白い歯を見せた。






(私… 初めてなのに、


 あんなに声出しちゃって


 

 変に思われてないかな…?



 ってゆーか、

 声出さないのは 絶対に無理。


 

 あんなふうにされたら…

 あんなふうになっちゃうでしょ


 

 ってか

 ジュエルくんも初めてなのに、

 凄すぎて 何度も意識飛ばしかけたわ


 …瞳の魔力が無くても、

 夜の魔力まで生まれ持ってきたのね…


 …もう何度驚かされてきたか…


           この彼氏には)





「大丈夫だった?


    少し… 血が…」





『うん、平気


 ありがとう



 少しだけ痛かったけど、

 途中から気持ち…



 あっ! ううん、何でもない!』





「そっか


 それなら良かった」





見つめ合って

もう一つ、キス音を鳴らすと


ジュエルがまじまじと顔を見詰めて…





叶春かなは


 すごく可愛い



    大好きだよ」




(なっ… 名前呼び!?


 はうぅ…



 きゅんきゅんしちゃうぅ〜〜〜!



 いきなりそれは、駄目だよ!!


 いやん…


 とろけてしまいそう!!)





泉水は不意打ちをくらい、目を泳がせた。





「ねぇ、叶春も僕のこと

    呼んでみてよ?」





意識を飛ばしてもおかしくない状況で

泉水は辛うじて持ちこたえている。


これまでに実績をつんできた成果が

今、実を結んでいるのだと、実感した。



『 (自分で自分を褒めたい!


   ようやく…


   ようやく…!


   ここまで これました…


   泉水 叶春、頑張った!) 』




「かなは…」



泉水の頬をつんつんするジュエル

不意に覗かせた無邪気さに驚きつつも…






『じ…ジュエルくん…』





ふふっと笑い、ジュエルが続ける。





「くん、は もう

 いらないかもね」





少し照れながら、

伏せ気味の目で泉水も返す。





『じゃあ…


    ジュエル…』





何も言わず、

ジュエルはぎゅうぅ…っと

泉水を抱きしめた。






「叶春のこと、

 残らず、全部 食べてしまいたい」





『駄ぁ目。





 …じゃ、ないけど…』










「叶春で全身、チャージしたい。


    …好きすぎて、ごめん。」










『私も…

 チャージしていぃ?


 さっきフルだったのに、


 

    … あっ♡


       ジュエル…』








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