第195話

泉水の横に座るジュエルからは

深めの呼吸音が聞こえてくる。



「…  ………っ…。


  はぁ…  はぁ…っ! 」




ジュエルは目隠しされた布の下、

目をぎゅっと強く閉じ、

額に汗を滲ませ、頭の痛みに耐えていた。



乱れた呼吸音から、

警告音が強まっているのだと

泉水は理解した。



『 (少なくとも、相当危険な場所に

  向かっているってのは確かね


  なんとか、

  逃げる方法を考えないと…) 』







キィィ…ン


キィ…ン


  キィィイィィィン…



…―――――

  ありがとう…


  傍に居てくれて。


  出逢えた事に感謝してる。



  忘れないよ。



  一緒に過ごした

  たくさんの思い出も、

  あの夜も。全部。



  ずっと ずっと―――――――…





「はぁ…っ…!


  はぁっ…!


  (なんだ…!?


   今の 声は?


   何を僕に…報せた?


    …くっ!


     警告音が… 酷い…!) 」

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