第192話
ブウゥゥ…ン…
先程乗っていたシャトルバスが
過ぎ去ると、そこには
刺すような視線を送る男が立っていた。
夏の炎天下にも関わらず、
黒いスーツと、黒い中折れハットを
被っている。
汗一つかいていない。
見るからに異様である。
カツ…カツ…カツ…
50代くらいであろうか、
男は表情を変えることなく近付いてくる。
『誰!?』
泉水の問いかけに対し、男は
指を1の字にして、口元に当て
目の前で足を止めて言った。
「しーっ。
お静かに…」
1の字にした指をゆっくりと下げ、
さらに男は続ける。
「蛇丸
…ですね?
そのまま立って応えなさい。
騒げば、
"施設" が消し炭になりますよ?」
不気味な笑みを見せながら、
男はずいっと近づいてくる。
「 (施設!?
じいちゃんたちが危ない!??)
誰だ…?
僕に何の用だ??」
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