第187話

これまで感情の起伏が浅く、

平坦に近かった彼が 少し人間味を

帯びたことによって、2人の表情にも

変化が生じていた。



ジュエルく〜ん、それちょっと

 貸して貸して〜?』



「え〜?


 ちょっとだけだよ〜?

 貴重なアイテムなんだからさぁ」



指輪に触ろうと手を伸ばす泉水。


ジュエルが少し屈んでいた為、

顔と顔がcmセンチ単位で接近すると…



「あ…」



 “大人の女性にこんなに見られて


  緊張しない? 


  実はドキドキしちゃったり?"



ジュエルの脳裏に

先日の泉水のセリフが勝手に再生された…




『ほんとキレイね〜


 ねぇ、クリスタルの方も見せて〜?



 …って アレ?


 ジュエルくん 顔赤くない?』



「えっ?


 べ…別に そんな事は…」




『あ〜!


 もしかして、ヘンな事考えたり

 したんでしょ〜?


     エッチ〜』



「ちっ… ちがうよ!


 そ そんなんじゃ なくて…っ」



『あ〜もー

 か〜わいぃ〜!!


 ジュエルくんもそんなトコ

 あるんだね〜?

       意外〜〜!』



「ホント…ちがうから!」



『ふーん、そ〜なんだ〜?


 目 泳ぎ過ぎよ? ふふふっ』



手で顔をパタパタと仰ぎながら、

ジュエルは少し足早に歩き出す。



「いずみちゃん…


 攻めに回ると強いな…」

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