第164話

『そ…そっか…


   そうなのね…』






少し顔を上げて応えると、

ジュエルが距離を縮めてきて

両肩を掴みながら、

真面目な顔をして告げた…







「いずみちゃん…


  昨日のいずみちゃんの熱量に、

  ちゃんと応えさせて?


 正真正銘、これは僕の気持ち」











ちゅっ…











『ん…っ!??


  ジュエルくん!?』









それは不意打ち中の不意打ち。


散歩中に隕石でも食らったかのような衝撃。









(いきなり唇 奪うとか!?



  

  …ってか、



   

   “私の熱量“ って、 どゆこと?


   

   全部降りてこい!私の記憶!

   

   私は結局、

   何をどこまでしたわけ!?)







“夜にしたこと“  “されたこと“




断片的な記憶、

後追いでやってくる感覚、

身体に刻まれた確かな事実、

会話から見えてくる微かな体験の記憶…




何処までも上がっていきそうな体温。

そこへ 火に油を注ぐが如く、

唇の魔力を注がれてしまった。






記憶は曖昧で ぐちゃぐちゃなまま

整理がつかない中での追撃に

混乱が乗じて 夢と現の境目も無く…

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