第163話

「記憶はあるんだけど…



    あれは僕じゃない



     …わかる… かな?」





『記憶、…あるんだ?』








かあぁあああっ!







ぼんやりと、断片的に蘇ってくる記憶…



闇夜で捉えられなかった映像に



ジュエルの姿を自動的に補完してしまうと



赤面した顔は より熱量を上げ、


両手で顔を覆い…


うつむいてしまう泉水。






「それと、


  途中で…



 止めちゃった。


 止めたっていうか、

 制御したっていうのかな…


   その、


   

       ごめん…」









『途中で、止めた?


   …止められ た??



 (最後までは…

  してないんだ…?


  ・・・  それはそれで、

       フクザツかも…) 』




覆った両手の隙間から、

ちらりと除きながら 

疑問符のついた言葉を返す泉水。






あの 意識ごと天に召してしまうほどの

所業は、ジュエルではあるけれど

意識的にしたわけではない、と。



そのまま最後まで進まずに、

そこは意識的に自身を制御できた、と。




その事実については

胸にモヤを残しつつも、

理解は出来た泉水…。

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