第40話

―――――…



ホールではたった1人の為だけに大物アーティストがライブを行っていた。




そのライブが終わった頃に、征十郎はホールでアリスの姿を捉え、駆け寄って行く。




「征十郎様!


 どうしてこんなところまで?」




『えへへ、アリスに会いたくて

 走って来ちゃった』





どギューーーん!!





会って数秒できゅんを飛び越える衝撃を受けるアリス。



「 (いやん!

  なんっっ…て可愛ゆいの!?


  可愛ゆさの結晶なのかしら??


  アリスちゃん耐えられない!


  もう好きにして…!!) 」





『今日ね! 学校でね!


 友達たくさんできたの!


 アリスに教えてもらった尊いって

 気持ち、ボクなりに考えてね、

 

 お話してみたんだ


      そしたらね…!』




アリスにビタっとくっつきながら、

征十郎は学校での出来事をたくさん話した。


楽しそうに話すその姿を見ながら、にこにこと微笑むアリス。


昨日のやり取りは征十郎にとって非常に意味のあるものだったのだと判り、人目が無いことを確認した上で ぎゅっと征十郎を抱きしめた。







『アリス…


    いい匂い』







「征十郎様、

 

 征十郎様は その心のままに

 

 真っ直ぐに生きてくださいませ



 きっと、その先に素敵な未来が

 待っている筈です」






『その未来には、


 アリスも居る?』







「えぇ、


 もちろんですとも!



 私が征十郎様をお護りしますよ」







『アリスのこと、

 

 ボクが護るよ』







最初は、弟が居たらこんな感じだろうか?


と思っていたアリスだったが、


いつしか ただの感情とは異なるものが


心の中に棲み着いている事に気づいた。






「光栄です、征十郎様」







『アリスー、大好き!』







「 (任務や目的を忘れて


  幸せを感じられるこの一時が好き…



  いつまでも…


  こうしていられますように



  征十郎様に、

  幸せが降り注ぎますように…) 」

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