第18話

「おやすみなさいませ、征十郎様」




師団長のサイトウが挨拶をするめだけに部屋までやって来て、帰っていった。



『 (夜の警護はサイトウとアリス以外

  の筈だ。


  2人は部屋にまっすぐもどるだろう

  から、逆ルートで回り道して

  2階から入ろうか…) 』





ファサ…



   ジー…ッ





暗目の服に着替えて、忍び込む準備は

万端だ。





『よし… やるか』





スッ…





自室の窓際、カーテンの隙間から外を眺めると、使用人たちが目を光らせているのが見えた。


外からは行けそうもないと悟る征十郎。




そこで作戦変更し、スマホを取り出す。




『キムラ?


 ちょっと迎賓館まで届けてほしい荷物

 あるんだけど、重いから台車か何かで

 運んどいてくれる?


 うん、 …うん。


 ボクはもう寝るから、荷物は部屋の前に

 置いとくね?


 急いで頼むよ


 …えっ? 何で泣いてるの?


 あー…確かにいっぱい喋ったけど


 それだけで?


 とにかく、頼んだよ


         オヤスミ。』




征十郎は箱の中に入って移動する作戦を

取るようだ。



3分後に使用人のキムラが到着し、

指示どおり台車で荷物を運び出した。

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