父親の仕事
第14話
迎賓館の長い通路を進み、
黒鎌家当主が居る部屋の扉の前に到着する
サイトウと征十郎。
2人に対し、
険しい顔で敬礼をする女性が1人。
「アリス、あとは征十郎様を頼んだぞ?」
「はっ! お任せください」
「征十郎様、これより先はアリスに
お預けさせていただきますので
私は戻らせていただきます」
迎賓館の4階応接室まで同行した師団長のサイトウは、扉の前で警護にあたっていたアリスという名の使用人に征十郎を預け、本来の持ち場である正門前へと戻っていった。
『アリス、
パパはまだ中?』
「はい、欧州から大使がこられて
おりまして 少し長引かれて
いるようですね」
『そっか。
アリスも大変だね。
パパの長話のせいで仕事引っ張って』
「とんでもありません。
私の任務は征十郎と、旦那様をお護り
することですから。
征十郎様、
会議は長引いているようですし…
今日もお話聞かせてくれますか?」
『うん、いいよ』
アリス・ワンダーレイド
21才。
このアリスという務めて3年目となる使用人は、配属直後から征十郎直属の護衛を任されてきた優秀な人材だ。
日本とスコットランドのハーフで、
レディッシュヘアとも呼ばれるきれいな赤い髪をしている。
前髪ぱっつん切りっぱなしボブの、きゅるっとした大きな瞳が特徴的な、キュートな顔立ちの、きゅるん顔女子だ。
冷酷な征十郎が唯一心を開ける存在でもあるが、師団長サイトウをはじめ、誰もそのことを知らない。
11才離れたアリスは、母親が居ない征十郎にとって母親代わりの存在でもあったようだ。
『今日、学校でね…』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます