第12話

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「「「おかえりなさいませ!


      征十郎様!!」」」




『ん・・・。』





黒鎌邸前にて、黒服集団に出迎えられ帰宅。



「征十郎様、学校は如何でしたか?


 何かお変わりありましたか?」



『何も。』



「そうですか…


    それは何よりです」





黒鎌家には常時100名を超える使用人が仕えており、征十郎に付き添うのはその師団長と呼ばれる者だ。


逆三角形型の引き締まった顔と、シャープなあごに整えられたヒゲ、そして素手に薄っすらと見える幾つもの傷跡が精悍せいかんさと戦歴を彷彿とさせる。




ちなみに使用人の給与は年俸制で 

1年目でも平均3000万円程が振り込まれる。



皆 住み込みで働いているが、有給休暇を

年間60日まで取得でき、それなりに消費しているようだ。



好条件ではあるものの、この家の実態を

把握する者がいないため、志願する者は

いない。


使用人は全てスカウトによって採用され、

情報の管理も徹底されている。








『パパは?』





「はっ!


 旦那様は迎賓館にいらっしゃいますので

 私がご案内致します」




『いいって。

 自分なんだから場所はわかるし。


 サイトウはもう休んでいいよ』




「征十郎様…!

 な なんとお優しいお言葉を…!


 しかし、私の仕事ですから

 そういうわけにはいきません」




『面倒だなぁ…』




師団長サイトウの目には零れ落ちそうなほどの涙が溜まっていた。


10文字以上の言葉を掛けられたのは半年ぶりのことだったからだ。

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